セルフコンパッションとは大切な人と同様に自身も思いやること

こんにちは、コンドウです。

セルフコンパッションという言葉について聞いたことはありますか?

検索してみると

セルフ・コンパッション(Self-compassion)とは、自らの欠点、失敗、または人生におけるさまざまな苦しみに直面した時に、自分自身への思いやりを実践することである。

引用元:ウィキペディア セルフコンパッション

と書かれていますが、これだけだとちょっとわかりづらいので

1.自らの欠点、失敗、または人生におけるさまざまな苦しみに直面
2.自分自身への思いやりを実践

という2つに分解して、それぞれに少し補足してみます。

セルフコンパッションの意味

1.自らの欠点、失敗、または人生におけるさまざまな苦しみに直面とは

  • 欠点:コミュ力が低い、計算が苦手、短気など
  • 失敗:仕事でのミス、家庭不和、喧嘩など
  • 苦しみ:不慮の事故、イジメ、病気など

それぞれについて自分にとってネガティブなことに直面したときを指します。

2.自分自身への思いやりを実践する

これについては、さらに「自分自身」と「思いやり」に分解します。

まず「自分自身」は【ありのままの自分】に置き換えます。

ありのままの自分とは、自分の長所・短所、強み・弱み、外見、内面・・などの全てをひっくるめた自分のことを指します。

続いて「思いやり」は【気遣いや共感などの気持ち】と考えます。

思いやりは「そもそも誰かに向けるものであって、自分自身に向けるものじゃないのでは?」と思われたかもしれませんが、ここでは自分自身に対して気遣いの気持ちを持つことと理解します。

以上、セルフコンパッションの意味をまとめると

自分の言動が原因で望む結果を得られなかったり、思いがけず自分にとってネガティブな出来事が起きても、ありのままの自分を受け入れて自分自身に対して気遣いの気持ちを持つこと

となります。

セルフコンパッションの意味をお伝えしたところで、次はもう少し具体的な話です。

想像してほしいのですが、自分にとって大切または身近な存在である誰か・・例えば

  • 仕事でミスをした同僚
  • 告白してフラれた友人
  • 人前で緊張する後輩

に対して、どんな言葉をかけますか?

きっと「気にしないでいいよ」「話を聞くから飲みにでも行く?」「絶対できるから大丈夫!」といった気遣いの言葉を選ぶはずです。

なのに、これが

  • 仕事でミスをした自分
  • 告白してフラれた自分
  • 人前で緊張する自分

になると途端に「バカじゃないの・・」「魅力がない証拠」「恥ずかしいし情けない」などの厳しい言葉を自分に投げつけてしまいがちです。

まさに自分がそうだ!という人も多いのではないでしょうか。

何か失敗するたびに自己否定を繰り返し自分を責めることは、なんでも責任転嫁してミスを認めない人よりも潔くて誠実な態度のように思えるかもしれません。

でも、実は「人のせいにばかりする」こととは別の意味で大きな問題が潜んでいます。

今回も「自己否定」を「大切な人への否定」と置き換えるとわかりやすいです。さっきの逆ですね。

大切な友人に対して「あなたはダメ人間だ」「あなたなんかいなくなればいいのに」って面と向かってハッキリと言いますか?

実際に相手を否定することを言ったとしたら、相手がどんな気持ちになるのか、どれほどのダメージを与えるのかを考えると、親しい間柄であっても言ってはいけない言葉がありますよね。

そういうことなんです!

無意識のひとりごとでボソッとつぶやいた言葉も、誰かに向けた強い言葉と同じように自分自身にダメージを与えてしまいます。

自分の大切な人と同じくらい自分に対しても思いやりを持つ
自分の大切な人がされて嫌なことや相手を傷つけてしまうことは自分にもしない

この感覚を理解して常に意識しておくことが、とても重要です。

セルフコンパッションについての導入部分はお伝えできたので、次はセルフコンパッションの構成要素

  1. 自分への優しさ
  2. 共通の人間性の認識
  3. マインドフルネス

を挙げていきます。

セルフコンパッションの3つの構成要素

自分への優しさ

 

ついつい自分のことになると批判的・否定的な言葉や態度を向けがちですが、そうではなくて自分自身に対しても

  • 親切で暖かい目を向ける
  • 前向きな態度で自分をいたわる
  • 感謝や尊敬などのポジティブな感情を持つ

ということが「自分への優しさ」ということです。

では、具体的に自分に対して何をすればいいのかというと

  1. セルフハグ
  2. 心の声チェック

の2つが簡単ですぐに実践できる自分にの優しくする方法です。

ひとつ目のセルフハグとは

自分で自分を抱きしめること

自分で自分の肩や腕などを手を回してギュッとすることです。

めちゃくちゃ簡単ですよね!

でも「セルフハグってちょっと照れくさいな〜」と感じる人もいるでしょう。

その場合は、セルフタッチそっと自分の心臓のところやお腹といった気持ちが落ち着きそうな場所に手を当てる)でも効果は絶大です。

「ベビーマッサージ」や「痛いの痛いの飛んでいけ〜」といった手当ての癒し効果は子供限定ではなく大人にも効きますから、試さないなんてもったいないです!

続いて、心の声チェックとは

自分で自分に何を言ったかを一瞬だけ思い出す

という作業で「自分に対してよくない言葉を使った 」「自分のことを責めすぎた」

そんな自分に気づくためのチェックです。例えば

  1. また三日坊主になった(ネガティブな出来事)
  2. 「三日坊主を繰り返して最悪!」(よくない言葉)と自分に対して心の声が出てしまったら
  3. 「最悪!」と言いっぱなしで終わらずに・・・「でも行動できた自分はえらい!」と心の声を上書きする。

こんな流れで「気づき&フォロー」を繰り返して、自分に対して優しく接することを習慣にしていきます。

「気づき&フォロー」はすぐにでも始めてほしいのですが、ひとつ注意点があります。

思い出すという行為は、あまり深く&長くやりすぎると、そのときの嫌な気持ちや臨場感まで再現してしまうリスクがあるので、自分に対するネガティブな心の声が出た瞬間にパパッと「チェック&フォロー」を実践するようにしてくださいね。

共通の人間性の認識

 

 失敗したときや苦しい状況に陥ったときに「こんな失敗をするのは自分だけだ」「なんで自分ばっかりこんな目に・・」みたいに孤独感や疎外感を覚えた経験があると思います。

そんなときに

(失敗なんて)誰でもやること
(苦しい状況は)誰にでも起きること

と思えることが「共通の人間性の認識」です。

実際、完璧な人なんていないので、誰でもミスをするし大小の差はあれ不幸なことや苦しみを伴う出来事を誰もが何度も経験してますよね〜。

だから、何が起きても落ち込み続けず、最後は復活して「自分だけじゃないんだ」と考えることで他者や組織、社会などと繋がっている感覚を思い出せれば、孤独感や疎外感はどんどん消えていきます。

これからは三日坊主になっても「みんなも三日坊主になってるし」くらいの軽い感じで受け止めて、絶対に自分を責めないで次に進んでいきましょう〜。

マインドフルネス 

マインドフルネスとは

 今この瞬間の出来事に意識を向けて、何についても判断せず/評価せず/とらわれずに、ただありのままの自分に注意を向け、それを受け入れる

 

という状態を指します。

例えば、三日坊主になってしまったときに

  • 自己嫌悪に陥ったり
  • 自己否定や自己批判をいつまでも繰り返したり
  • 自信を失ったり

とネガティブな感情の沼から抜け出せなくなることがあると思います。

そんなときに、今の感情を判断せず/評価せず/とらわれずに、ありのままの自分(感情)を受け入れることが、心の穏やかさを取り戻す近道となります。

一方で「誰かに愚痴ったり、怒りを外に向けることでストレスを発散できている!」という意見があると思います。

ですが、実はその度にネガティブな感情を思い出して嫌な気持ちを自分の中で再燃させるだけで、ストレス解消には逆効果のため、あまりオススメできない対処法と言われています。

 

と、マインドフルネスについてザックリとお伝えしましたが、パッと読んでピンとくるものではないので、詳しくはこちらの記事でご確認ください。

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セルフコンパッションの3つの効果

ここまででお伝えしたように、セルフコンパッションには

ネガティブ感情を強引にポジティブ感情に置き換えるのではなくて、一旦ネガティブ感情をありのままに受け入れた後に、無理なく穏やかにポジティブ感情につなげていけばいい

という特徴があります。

そのため

  • 人と比べず自分を保てることで幸せを感じやすくなる
  • 自己批判や自己否定、その他のネガティブ感情が減ることでストレスも減る
  • 孤独感や疎外感が減ることで復元力・回復力が高まる

といった効果が期待できます。

もし、三日坊主になっても

  • 他人の目や意見は気にせず自分のペースで楽しむ
  • 自分にダメ出しするかわりに自分を応援する
  • みんなも三日坊主に悩んでいることを思い出す

こんな感じで自分に思いやりを持って接することで、スルッと三日坊主を抜け出すきっかけにしてみてください!

セルフコンパッションを高める方法

セルフコンパッションを高める方法はいろいろあるのですが、ここでご紹介したいのは、セルフコンパッションの構成要素のひとつである「マインドフルネス」な状態を日常生活の中に作る方法です。

  • 朝目覚めてすぐ
  • トイレに入っているとき
  • 朝食中
  • 出勤の支度中
  • 朝の駅までの徒歩時間

など、毎日繰り返す行動(朝一のなるべく早い時間帯がさらに効果大)の時間を「マインドフルネス」な時間に変えるということです。

朝起きてすぐ「今日も会議があって憂鬱」

トイレで「家族と揉めたことを思い出してイライラ」

駅まで歩いているときに「週末の予定が嫌すぎてゲンナリ」

こんな風に、過去や未来のことに思考を奪われている自分をそのまま受け入れ「今ここにいる自分の状況や感情」を意識することで、セルフコンパッションを高めることができます。

さらに「今ここ」を実践するための最適な方法はマインドフルネス瞑想なのですが、数行でお伝えできることではないので、この記事でふれるのは控えますね。

自分を思いやることの大切さ

長々と書いてしまいましたが、強くお伝えしたいのは

他人を気遣うよりも、自分のことこそ気遣って大切に扱っていいんです!

ということです。

日本では子供の頃から「相手に思いやりを持ちなさい」「友達との協調性を大切にね」とは教わっても、自分にも思いやりを持つことの大切さをほとんど教わっていません。

だからこそ、年齢や性別、社会的地位や生活環境に全く関係なく、今この瞬間からご自身の大切な人を想う気持ちと同じかそれ以上に自分というひとりの人間を気遣ってあげてください。

参考文献

今回の記事では以下を参考にしています。セルフコンパッションについて興味を持たれたら、ぜひ、読んでみてください。

セルフ・コンパッション[新訳版] クリスティーン・ネフ著

※僕が持っているのは旧版です。新訳版は読んでいないのですが、書評等によると訳がわかりやすくなっているそうです。

Harvard Business Review セルフ・コンパッション(2019年5月号)

※バックナンバーになります。お好みによって、Amazonやブックオフで本を購入する。興味のある記事のPDFデータを購入などの選択肢があります。

データを購入されるなら「セルフ・コンパッション:最良の自分であり続ける方法」 有光 興記 関西学院大学 教授著 を強くオススメします。

有光教授が書かれている記事はすごくわかりやすいので、こちらもぜひのぞいてみてください。

□公益社団法人 日本心理学会 【特集】 セルフ・コンパッションと「あるがまま」